" 比良の風景 9月"
打見山より比良の空。
琵琶湖に注ぐ川の水は冷たい。その小川にドジョウがいると聞いていたので、さっそく小川で遊んでいると、いつの間にやら大量の蟻が足に絡み付いている。急いで靴と、靴下を脱ぎ捨てて琵琶湖に避難。
比良は水がうまいから、米も最高。
刈り取り。
乾いた稲はサラサラと鳴って、土はほどよく柔らかい。
刈られた稲の横にはすでに芽生えがあって、どんどんと生命が育まれている。稲に巣をつくっていた蜘蛛たちは、その間を隠れるようにそそくさと退場をはじめる。
もち米を天日に干せるように稲木を組む。農作業をしながらも、その田のまわりを通りかかった人たちと、天気のこと、人生のこと、農作物のこと、これからのことなど井戸端会議が絶えない。大きな空の下で繰り広げられる意見交換は、見ず知らずの我々にも筒抜けで大らかだ。比良あられを作っておられる方に、稲木に米を干す時は向きを揃えて、と激励を受けながら、せっせと汗を流す。無知ゆえに半そでだったため、チクチクと腕が痒くなるも、稲の香が気持ちいい。
秋の夜長を寺の境内で音楽を聴く贅沢。比良の時間はのんびりと過ぎていく。
迷いの森を歩く。
2010年の案山子たち。